プロローグ
建築を撮影させていただくようになって10年程経ちました。
最初にアシスタントとしてマリオットホテルの撮影に同行したときのことをよく覚えています。当時はデジタルとフィルムの変換期後期で、4×5の感覚で撮影できるデジタルカメラを師匠が使っていました。ライティングも色を変えられるフィルターを入れて空間の色に合わせていました。もちろんドローンもなく、現在とは違ったやり方で撮影をおこなっていました。
今回の記事ではアシスタントを経て撮影するようになり、独立して数年が経った今感じること体験したことを書いていこうと思います。
建築ってほんの少し先の未来なんじゃないか
高校生の頃コルビュジェの300万人の現代都市構想を見た時や建築雑誌を見るたびに少し先の未来を見ている感覚になっていました。建築を学んでいた大学生の頃、GAに西沢立衛さんの森山邸を見たあの時の衝撃。次の建築の新しいかたちなのではないかと感じた感覚。新しい建築は色々な道に進み、建築の新しいかたちを見せてくれてワクワクします。そんなワクワクを建築写真にして知ってもらいたい、伝えたいと思い日々撮影しています。
建築写真と風景写真の似ているところ
建築写真は人工物を撮影し、風景写真は自然を撮影します。が、多くの共通点があります。どちらも空間と光、そして時間の流れを捉えることが求められます。自然の風景と同様に建築もまた、光の変化や周囲の環境によって異なる表情を見せます。風景写真が自然の持つ美しさや厳しさを表現するように、建築写真も建物が持つデザインの美や機能性を引き出し、そこに込められた人々の意図や想いを伝える役割を果たしています。両者は異なる被写体を扱いながらも、その根底にある美しさを捉えるという点で非常に似通っています。
写真家とカメラマンの違い
写真家とカメラマンという言葉はSNSでよく違いってなに?ということを議論しているのをよく見かけます。個人的にその役割や視点には明確な違いがあります。カメラマンは技術的な側面にフォーカスし、クライアントのニーズや要求に応じて正確に写真を撮影するプロフェッショナルです。一方で、写真家は、個人的な視点や感性を基に、被写体の本質やその背後にある物語を表現しようとします。写真家は、アートとしての写真を追求し、見る人に強いメッセージや感情を伝えることを目指します。建築写真においてもこの違いは顕著に現れます。カメラマンとしての技術的なスキルが重要であることはもちろんですが、写真家としての視点や感性が建物の魅力をどれだけ引き出せるかを左右するのです。
まとめ
今回は取り止めのない頭にふと浮かんだことを書いてみました。
建築に感じていること撮る時の考え方は根底があまり変わっていないなと感じます。
建築を撮る時はカメラマンと写真家の役割をどちらも必要で、ニーズに応えること・提案することはどちらも大事なことです。今後も努めて建築写真を撮影していこうと思います。