はじめに
建築写真は、建物のデザインや機能を視覚的に伝える重要な手段です。そのため、写真がどのように構成され、どのアングルから撮影されるかが大きな影響を与えます。本記事では、建築写真における基本的な構図の技法とアングルの選び方について解説します。
基本的な構図の技法
1. 黄金比と三分割法
黄金比や三分割法は、視覚的にバランスの取れた構図を作り出すための基本的な技法です。三分割法では、写真を縦横それぞれ三分割し、交点やライン上に被写体を配置します。これは、建築物の主要なラインや特徴を強調する際に非常に有効です。また日本を含むアジアで好まれる白銀比というものもあります。数値で表すと1:√2と1:1+√2です。五重塔などはこの比率で造られていたり、日本画でも用いられています。
2. 印象性と説明性
撮影中の判断では印象的に撮るか説明的に撮るかをしなければなりません。印象的なアングルの代表格は正対し対称しているものです。実際にいいね!の数は圧倒的にこのアングルが多いと言われています。基本的に説明的なアングルは振りです。ヴォリュームやスケールなどがわかりやすく伝えることができます。そして次のステップとして正対して説明的、振って印象的と応用し様々なアングルで建築を表現していきます。
3. 消失点とリーディングライン
消失点やリーディングライン(誘導線)を使うことで、視覚的な奥行きを作り出し、視線を被写体の中心へと導くことができます。特に長い廊下や並木道などでは、これらの技法が効果的です。
アングルの選び方
1. 低角度(ローアングル)
低角度からの撮影は、建築物のスケール感や威圧感を強調するのに適しています。このアングルは、高層ビルやモニュメントなど、大規模な建築物に対して特に効果的です。
2. 高角度(ハイアングル)
高角度からの撮影は、建物全体の配置や周囲との関係を示すのに役立ちます。ドローンや高所からの撮影を活用することで、ユニークな視点を提供することができます。
3. クローズアップ
建築物のディテールや素材感を捉えるためには、クローズアップ撮影が有効です。特に装飾的な要素や建築の特色を強調したい場合に適しています。
4.外した構図
黄金分割や三分割法、その他様々な基礎となる構図を使用していますが、それらから外して撮影する手法も存在します。例えば正対したアングルは硬い印象になりがちです。建築よっては合っていない場合もあります。また写真の中で目立たせたくないものを目立つ場所から遠ざけるなどです。この外しの技術は多様な意匠となった建築や、動かせないものに対して効果的に使うことができます。
実際の撮影事例
私たちは、これらの技法とアングルを駆使して、クライアントのプロジェクトを最も効果的に伝える写真を目指しています。”こちら”からわたちたちの写真をご覧いただき、どんな技術が使われているか見ていただくのも面白いかもしれません。
まとめ
建築写真において、構図とアングルの選び方は作品の質を左右する重要な要素です。これらの技法を理解し、適切に活用することで、建物の魅力を最大限に引き出すことができます。私たちは、常に最適な構図とアングルを追求し、クライアントの建築作品を表現することを心がけています。