プロローグ
正対・対称の建築写真はいいね!がつきやすい傾向にあると某建築雑誌編集長が言っていました。
建築写真を撮影する際、構図の選択は写真の印象を大きく左右する重要な要素です。特に、シンメトリー(対称性)とアシンメトリー(非対称性)の使い方は、写真に美しさや独自性をもたらす重要な技法です。この記事では、シンメトリーとアシンメトリーが建築写真にどのような効果を与えるのか、そしてそれらをどのように活用して建築の魅力を引き出すかについて考えてみたいと思います。
シンメトリーの美学
シンメトリーは、左右や上下がバランスよく配置された構図を指します。シンメトリーは古代から美しさの象徴として多くの建築に取り入れられてきました。建築写真においてシンメトリーを活用することで、建物のデザインが持つ秩序や調和を強調し、見る人に安心感や安定感を与えることができます。
例えば、クラシックな建物や宗教建築、公共施設など、設計自体にシンメトリーが強く意識されている建物では、その対称性を写真で際立たせることで、建物の威厳や荘厳さを強調することができます。正面から建物を撮影し、左右のバランスを保つように構図を整えると、建物が持つシンメトリカルな美しさが際立ちます。
シンメトリーの構図の高さ
シンメトリーではカメラの位置はほぼ決まっています。外観では上部を入れることがほとんどで、内部空間では意匠を見て、カメラの高さを変えることで上下どちらを入れるかを決めています。低い位置にすると天井や高さを出すことができます。高い位置は床や地面を立体的に写すことができます。
アシンメトリーの魅力
一方で、アシンメトリーは構図に意外性や動きをもたらし、建築写真に独特のリズム感やダイナミズムを与えます。アシンメトリーは、特にモダンな建築や実験的なデザインにおいて、建物の個性や革新性を表現するために効果的です。
アシンメトリーを活用する場合、構図の中で意図的にバランスを崩し、視線を特定のポイントに誘導することができます。
個人的に構図を外すと言っているアシンメトリーな表現は、例えば、建物の一部を強調するために斜めの視点から撮影したり、建物全体ではなく、部分的に焦点を当てたりすることで、見る人に新たな視覚的体験を提供することができます。
シンメトリーとアシンメトリーの融合
さらに、シンメトリーとアシンメトリーを組み合わせた構図も、建築写真に深みと複雑さをもたらす効果的なアプローチです。例えば、シンメトリーをベースにしつつ、一部をアシンメトリーに崩すことで、建物に対する視覚的な興味を引き立てることができます。このアプローチは、特に建物の設計意図を強く反映した写真を撮影したい場合に有効です。
建物の一部を対称的に見せつつ、周囲の環境や内部のディテールでアシンメトリーを取り入れると、写真全体が調和を保ちながらも動的で生き生きとした印象を与えることができます。
まとめ
シンメトリーとアシンメトリーは、建築写真において美しさと独自性を引き出すための強力なツールです。シンメトリーは秩序と調和を、アシンメトリーは動きと個性をもたらします。これらの要素を効果的に組み合わせることで、建築物の魅力を最大限に引き出し、視覚的に印象的な写真を撮影することが可能です。建築写真を撮影する際には、シンメトリーとアシンメトリーの特性を理解し、それぞれの建物に最適な構図を選ぶことで、写真の質を高めるように努めています。