プロローグ
建築写真は、広告写真となってきました。インターネット、特にSNSの発展により従来の竣工写真として撮影されていた建築写真は集客・認知・ブランディングなどの発信を目的とした役割を大きく占めることになりました。建物や空間の魅力を伝える強力なビジュアルコミュニケーションのツールとしての撮影を強く求められるクライアントがほとんどです。わたしたちは視覚的な要素を通じて、デザインの意図や空間の使い方、雰囲気を効果的に伝えることを目的として撮影しています。この記事では、建築写真を通じたビジュアルコミュニケーションの方法とその効果について考察します。
建築写真の役割
1. デザイン意図の伝達
建築写真は、設計者のデザイン意図を視覚的に伝える重要な手段です。建物の形状、素材、色彩、配置など、設計者が込めたメッセージを正確に捉え、伝えることで、見る人に建物の本質を理解させることができます。
2. 空間の使い方の説明
写真を通じて、空間がどのように使われているかを示すことができます。例えば、オフィススペースの機能性や、住宅の居住性、公共施設の利便性など、実際の使用状況を視覚的に伝えることで、建物の機能性を強調することができます。
3. 雰囲気と感情の喚起
建築写真は、空間の雰囲気や感情を喚起する力を持っています。自然光の取り入れ方や、影の使い方、色彩の選定など、視覚的な要素を通じて、空間が持つ特有の雰囲気を伝えることができます。これにより、見る人に感情的な共感を呼び起こすことができます。
ビジュアルコミュニケーションの方法
前提
コミュニケーションを前提とするならば、様式美を少し崩した写真がいいのかなと思います。それは建築を専門とする方々に見せる写真と、そうでない方々に見せる写真は違うと考えているからです。建築の知識がないと建築写真は読みづらいです。従来の建築写真は様式美のように堅く、男性的なイメージを持たせやすいなと感じています。説明と雰囲気を混ぜた写真と言えばいいのか、極端に言えばボケている写真ももしかしたらいいのかもしれません。
1. 構図とアングルの選定
効果的なビジュアルコミュニケーションには、構図とアングルの選定が重要です。リーディングラインや対称性、三分割法などの構図技術を駆使することで、視覚的に魅力的な写真を撮影することができます。また、それらを”外す”アングルも技術としてあります。正対・左右対称が無条件でいいわけではありません。建築に合わせたアングルを考えるべきだと思います。
2. 光と影の活用
光と影の使い方も、ビジュアルコミュニケーションにおいて重要な要素です。自然光や人工光を巧みに利用して、建物の質感やディテールを強調することで、空間の魅力を引き立てることができます。光の方向や強さを調整することで、写真の雰囲気を大きく変えることができます。例えば以前は明るい写真が流行りましたし、好まれました。それは川内倫子さんの作品や広告写真の流れがあります。現在は流行の規模が以前より小さく多様になったので、各ペルソナに刺さる撮影が求められると思います。
3. 色彩とコントラストの調整
色彩やコントラストの調整も、視覚的なメッセージを強調するために重要です。色の選定やコントラストの強弱を調整することで、建物のデザイン意図や空間の特性を視覚的に伝えることができます。特にデジタル編集の段階で、色彩の調整を行うことで、写真のインパクトを高めることができます。
ビジュアルコミュニケーションの効果
前提
弊社が狙っている効果は、認知・集客・ブランディング・賞の受賞です。わたしたちはこちらから提案させていただいたり、お任せいただく撮影もありますが、基本的にクライアントの活動が活性化するような撮影を心がけています。
1. ブランドイメージの強化
建築写真は、ブランドイメージの強化に寄与します。これは写真のちからのひとつです。そして近年は特にブランディングが強く求められています。企業やデザインスタジオが持つブランドのビジョンや価値観を、建築写真を通じて視覚的に伝えることで、ブランドの一貫性を保ち、信頼性を高めることができます。
2. 顧客との共感の構築
写真を通じて空間の魅力を伝えることで、顧客との共感を構築することができます。特に住宅や商業施設などでは、実際にその空間を利用する人々にとっての魅力を伝えることが重要です。写真を通じて空間の居心地や使いやすさを感じてもらうことで、顧客の共感を得ることができます。
3. プロジェクトのプレゼンテーション
建築写真は、プロジェクトのプレゼンテーションにも使用されます。クライアントやステークホルダーに対して、プロジェクトの進行状況や完成形を視覚的に示すことで、コミュニケーションを円滑にし、理解を深めることができます。
まとめ
建築写真は、デザイン意図の伝達、空間の使い方の説明、雰囲気と感情の喚起など、多くのビジュアルコミュニケーションの役割を果たします。効果的な構図やアングル、光と影の活用、色彩とコントラストの調整を通じて、建物の魅力を最大限に引き出すことができます。私自身、これらのテクニックを活かしながら、建築写真を通じて、より豊かなビジュアルコミュニケーションを追求していきたいと思います。