建築写真や建築動画の撮影を行う上で、単に美しい写真を撮ることはクライアントにコミットしていないと思います。撮影者としての役割はクライアントの目的を達成するために、建築物のどの部分の魅力を引き出すのか考え、提案し、成果物を完成させることだと思います。
この記事では撮影において心に留めておきたい重要なポイントについて考えてみたいと思います。
1. クライアントの目指す目的が達成される成果物の制作
撮影の仕事は単なる「技術的な作業」ではありません。その建築がどのような背景を持ち、どのように見られるべきかを理解し、それに応じた成果物を提供することが求められます。
目的を共有することの重要性
クライアントが目指すゴールは何でしょうか?アーカイブとして記録を残すためなのか、賞に応募するためなのか、それともプロモーションとして建築の魅力を広く伝えるためなのか。それぞれの目的に応じて写真や動画のスタイルは大きく変わります。撮影者として、クライアントの意図を深く理解し、ゴールに寄り添った成果物を目指すことが重要です。
2. 提案する撮影者でいること
撮影者の役割はクライアントの指示に従うだけではありません。専門家としての経験と知識を活かし、より良い方法を提案する姿勢が必要だと思います。
クライアントの期待を超える提案を
大枠の話になってしまいますが、建築物が昼間の光だけでなく夕暮れや夜間の照明デザインによって一層際立つ場合、その時間帯の撮影を提案することで成果物の質を大きく向上させることができます。またドローン撮影やタイムラプス動画といった技術を活用することで、静止画では表現しきれないスケール感やダイナミズムを加えることも可能です。
「撮られる側」からの視点を持つ
建築をただ撮影するのではなく、建築物が「どう見られたいか」を意識することが提案力を強化します。建築物の魅力を引き立てる構図やライティング、アングルを考え抜き、写真や動画に説得力を持たせましょう。
3. クライアントを勝たせること
最終的なゴールはクライアントの成功を支えることです。建築写真や建築動画は、単なるビジュアル資料ではなく、クライアントが目指す結果を実現するための重要なツールとなります。
「勝つ」という視点
クライアントが賞を受賞したり、プロジェクトを成功裏に発表したり、プレゼンテーションで競合を上回る成果を収める。撮影者はその目標達成に向けたパートナーであり続けるべきです。そのために、「この写真や動画がクライアントにとってどう役立つか」という視点を常に持ちながら撮影に取り組むことが大切です。
信頼を築くこと
初心を忘れないように考えていることは、クライアントにとって「頼りになる存在」になることが良好な関係の構築につながる。撮影者としての技術だけでなく、コミュニケーションや現場での柔軟な対応が信頼を生む。ということです。同じ店舗撮影でも、店舗経営者と設計者では必要な写真や動画は異なります。その基本がある上で表現を追求する姿勢が大事なのではないかなと思います。
まとめ
撮影をする心構えはクライアントと同じ目線に立ち、その目標を共有することにあります。提案する姿勢を持ちながらクライアントの成功に貢献すること。それが撮影者としての役割であり責任です。
これからも「ただ技術を追求して撮る」ではなく、「クライアントのために勝つ成果物を届ける」という視点を忘れずに、現場に臨んでいきたいと思います。