プロローグ
建築写真とインテリア写真は、どちらもヴォリューム、空間、ディテールなどを捉える写真のジャンルですが、それぞれ異なる目的とアプローチが求められます。この二つの写真にはどのような違いがあるのでしょうか?この記事では、建築写真とインテリア写真の概念的な違いについて僕が考えていることを書いてみます。
建築写真: 外観と構造の表現
建築写真の目的
建築写真は主に建物全体の外観や構造を捉えることを目的としています。建物の形状、素材、設計の特徴を強調し、建築家のデザイン意図や建物の機能性を視覚的に伝える役割を果たします。建築は土地柄や歴史、気候など建ち方にも大きな意匠要素があるので、モノとしての撮影と物語としての撮影もあると考えています。
アプローチと技術
建築写真では、広い視野を持つ広角レンズや、建物全体を遠くから捉えるための望遠レンズがよく使われます。また、建物の対称性やリーディングライン(誘導線)を活用した構図が多用されます。これにより、建物の壮大さやデザインの美しさを強調することができます。また近年ではドローンも多用されており、新たな視点から建築の様子、都市計画なども明確に表現できるようになりました。
インテリア写真: 空間の雰囲気とディテールの表現
インテリア写真の目的
インテリア写真は、建物の内部空間の雰囲気やデザインのディテールを捉えることを目的としています。家具の配置、色彩、照明の効果など、室内環境が持つ独自の美しさや居心地の良さを伝えることが主な役割です。内部空間には近・中・遠景が多く存在しています。その景色は家具、アート、造作、照明など様々なマテリアルで構成させれいるため、各々がどのように空間に作用しているか、無限にあるアングルの中で設計した方々の意図を汲み取り、空間の特性を伝えることを意識しています。
アプローチと技術
インテリア写真では、空間の広がりや奥行きを表現するために、広角レンズがよく使われます。また、特定の家具や装飾品に焦点を当てるために標準レンズや中望遠レンズが用いられることもあります。光の使い方も重要で、自然光や人工光を活用して室内の雰囲気を引き出します。構図は、空間全体の調和を意識し、バランスよく配置すること、写真一枚の中でどの要素を何割入れるかを考えています。
まとめ
建築写真とインテリア写真の撮影には、それぞれ異なるアプローチが必要です。望遠レンズや広角レンズの使い方、光の選び方、構図の設定を工夫することで、空間の魅力を最大限に引き出すことができます。これらの違いを理解し、それぞれの写真に適した技術を駆使することで、より魅力的な写真を撮影できるようになります。私自身、これらのアプローチを活かしながら、建築とインテリアの美しさを伝える写真を撮り続けていきたいと思っています。